シーリングファンと健康
高気密・高断熱の現代建築
冷暖房が原因の現代病『自律神経失調症』
赤道直下の灼熱地帯に住むアフリカの人達や、零下何十度の極寒の地に住むエスキモーの人達と同じ様に、私達の体には外気温の変化に対応する様に精巧な 『体温調節機能』 が生まれつき備わっています。
しかし高気密・高断熱の居住環境における冷暖房によって、その機能が低下し健康に大きな影響を及ぼしている事は意外と知られていません。
能動汗腺衰退症
人の肌の表面には約230万個のエクリン腺(汗腺のひとつ)が有りますが、機能するエクリン腺(能動汗腺)の数は 生後2~3年間に育った環境 により決定されてしまうと言われます。
この大切な時期に冷暖房の効いた環境すなわち体の温度調節の必要性が少ない環境で育つと、汗腺が十分使われない為能動汗腺が少ない身体に育ち「汗をかかない」のではなく『汗がかけない』体に成長してしまいます。
冷房病
高温多湿な日本の気候には冷房は欠かせず、「家庭」でも「職場」でも「公共の場」でも「乗物の中」でも、何処に居ても私達の体は殆ど一日中冷房にさらされています。
さらに熱帯夜の多い真夏には就寝中にも冷房を入れる事が多く、殆んど24時間冷房の中で生活している状態です。
人の身体は、暑い時は体内の温度が外気に合わせてどんどん上がらない様に、血管を拡張し毛穴を開いて水分を出し(発汗)熱を発散して 体温調節 をします(恒常性)。 しかも汗は体温調整をするだけでなく、体内の老廃物を体外に出す 大切な役割を持つ機能なのです。
しかし冷房で身体を冷やすと汗腺は閉じてしまい血管は収縮して血流障害を起こし『冷え性』などの様々な健康障害を引き起こします。これが現代人、特に女性を悩ますの【冷房病】なのです。
温度不感覚症候群
高気密・高断熱性の高い近代建築の中では、【暖かい空気は軽い】という自然現象により暖房をしても暖かい空気はどんどん上昇して天井付近に滞ってしまい、天井と床の温度差が生じます。
通常の一般住宅(平均240~260cm天井高)で最高 約9度もの温度ムラ が発生する「暖頭寒足」の温度環境になってしまいます。
上下の著しい温度差の為、体内の温度を感知するセンサーが混乱して、決して低くはない足元の温度でも身体の上半身と比較して「寒い」と判断してしまいます。
その結果寒さを解消しようと暖房をさらに強めてしまう「過剰暖房」の悪循環に陥ってしまいます。これが【温度不感覚症候群】です。